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アンティキテラの機械:古代のコンピュータ?

ジョーマーチャントという人が著した「アンティテキラの機械: DECODING THE HEAVENS」という本が出版されています。この本をガイドに2000年前にタイムトリップをしてみたいと思いました。「アンティキテラの機械: Antikythera Mechansim」は地中海のアンティキテラ島沖の海底から引き上げられた謎の機械の名称です。

        jomarchant.jpg
  DECODING THE HEAVENS    JO MARCHANT

アテネ国立考古学博物館蔵に展示されているアンティキテラの機械
20110620232423.jpg

引き上げられたアンティキテラの機械の部品、これらを基に機械の構造が調査されました。
20090520101841.jpg

事の始まり:

1900年、ギリシャ半島の沖アンティキテラ島の沖合で一隻の船が難破船を見つけました。この島の沖合は潮の流れも速く昔から航行の難所と言われており多くの船が難破した場所。冒険家が一攫千金の夢を見て財宝を引き上げる話が多かったようです。

アンティキテラ島(図のA)は西にロードス島、東の方にローマ帝国、またアルキメデスがいたシチリア島があります。おもに東の財宝をローマに運ぶ船の海路になっていてこの島の沖合が結構な難所だったようです。ジョーマーチャントは船の難破した時代考証からみて、この難破船はポンペイウス(カエサルと三頭政治で主権を争った)が戦利品の財宝を小アジアのペルガモンからロードス島経由ローマへ運ばせた船であったのではないかと推理しています。紀元前100-50年頃の時代ですね。
antikythera area

この難破船から時計仕掛けのような小さな機械(ブロンズ製?)がひっそりと引き上げられました。難破船は2000年以上前のギリシャ時代の船。そんな昔のこの小さな歯車の固まりのようなものは誰が造って何のための道具(?)だったのか。それから更に100年近い年月が必要になろうとはその時点で誰も分かっていなかったのです。

引き上げられた当初は興味を持たれる事もなく、ギリシャ文化を代表するような美術品がきらびやかに展示されるアテネ国立考古学博物館の片隅で眠っていたのですが、突然この小さな機械にスポットライトが当ることになりました。美術品とは異なる歯車の固まりのような小さな機械にアテネ国立考古学博物館の館長が興味を覚えたのです。ギリシャ時代の難破船になぜ中世に発明された歯車時計のような機械があるのか。調べていくうちにこの機械は相当精密な歯車が使われていることが分かり、そこに書かれている文字の一部が解読され、これは天体運行を示すような機械ではないかということが分かりかけてきたのです。単に天体運行を示すにしてこの機械はより複雑で大変精密なものであったので、それ以上何かの意図を持って造られたのではないかという謎がありました。

アンティキテラの機械に魅せられて謎解きに活躍した人たち。

その後、デレク・デ・ソラ・プライス (Derek J. de Solla Price: 物理学、数学、天文学者)が最初のX線撮影による分析を行ったり、マイケル・ライト(博物館の学芸員)が苦労をしてこの機械を復元させたり、またアメリカのトニーフリースのチームがCT断層撮影で更に分析を行ったりと徐々に謎が解かれていきました。

デレク・デ・ソラ・プライスと彼が制作したアンティキテラの機械モデル。
マイケルプライスによるとまだこれはアンティキテラの機械を理解する上で不十分であったとの事。しかし彼は最初の分析を試みた学者として認識されています。
DerekdeSollaPrice.jpg

マイケルライト
博物館の学芸員(Curator)であったマイケル・ライトはデレク・デ・ソラ・プライスが発表したアンティキテラの機械について発表した論文に刺激を受け、プライスの分析を更に押し進め、この機械の研究に多大な貢献をしました。しかしながら学芸員という身分は学者でない彼にとっていろいろな面で苦労をしなければならなかったようです。それでも好奇心、忍耐とアイデアを駆使して研究を進めた姿をジョーマーチャントは上述の著書で物語の主人公のような位置づけで描いています。下記の動画は彼が考察したモデルを本人が説明するという貴重なものです。ジョーマーチャント自身がナレーションを行っています。


トニーフリースとマイクエドモンズ:カーディフ大学
picture-5.jpg picture-6.jpg
エドモンズはカーディフ大学の天文学者でトニーフリースは映画製作者(現在はカーディフ大学に在籍)という組み合わせです。それにヒューレットパッカード社、Xテック社のX線の最新技術が用いられました。かれらはアンティキテラリサーチプロジェクトという組織で現在も調査を進めています。とくにアンティキテラの機械のパネルに書かれている古い文字の懐石によっていろいろのこの機械の機能が分かりつつあります。 
ホームページの一部
スクリーンショット(2011-08-27 0.17.05)

プロジェクトのURLはこちらから閲覧できます。 → Antikythera Mechansim Research Project

刻まれた文字の一例:このような文字を解読して徐々に機械の機能が判明していったのです。この文字列はいわばこの機械の取扱説明書のようなものですね。構成の我々はこれを読む事によってこの機械がどのような機能を持っているか学習できるのです。
察するにこの機械の持ち主は天文学の専門家などではなく、多分裕福な個人持ちの専用の機械だったようです。機械の大きさもたかだか20cmX20cm位でポータブルタイプの計算機のようです。
Antikythera Mechansim

ちょっと原理的な話をしましょう:
歯車は現在誰でも知っている常識として動力を伝える駆動形式の一つ理解されていますが、もう一つの顔はそれ自身がデジタル計算機の演算要素になるという事なのですね。

いま2枚の歯車が噛み合って回っているとしましょうか。一番目の歯車のは歯の数を100、2番目の歯車の歯の数を50としたら1時久米の回転数の100/50=2倍の早さで2個目の歯車が回りますね。Aの歯数をa,Bの端数をbとするとAとBの関係が B=A x a/bのかけ算で表されます。逆に見ると割り算になりますね。端数が割り切れないとあまりの分だけ歯の数が歯車が回りきらなくなります。差動歯車を使うと引き算や足し算ができます。遊星歯車という歯車の噛み合わせを使うともっと複雑な計算もできます。基本的な加減乗除は歯車の組み合わせで計算ができるという事はあまり知られていないのではないでしょうか。
20080205js3.gif Differential_free.png  220px-Epicyclic_gear_small.jpg
平歯車             差動歯車             遊星歯車

今のコンピュータの計算方法(基本的な計算の動き)は誤解を恐れずものすごく荒っぽく言うとこの歯車の動きを電子回路に置き換えたと言えると思います。この歯車装置を動かす動力は手回しのハンドルやゼンマイ、蒸気機関等であったのです。

下図にアンティキテラメカニズムリサーチプロジェクトが考案した機械の原理を示しましょう。

この機械は任意の時間(例えば1000年後とか500年前とか)で天体の運行(太陽系の惑星、月、太陽の運行)状況を知る事ができる装置であり、さらに太陰暦と太陽暦の変換もできて食の時刻も示すことができる精密な機械らしい事は分かっています。4年ごとに開催された古代オリンピックの正確な暦年も計算できるという説も最近浮上しているようです。

まだ幾つかの歯車が欠落しているようで、「ここには惑星の軌道を著す歯車がつくはず」等という仮定も盛り込まれているようです。大きな素数の歯数を持った歯車も存在しており、当時の工学の高さも証明しています。
20090520135816.jpg

マイケルライトのモデルのCGアニメーション
最後にマイケルライトのモデルを参考にしてその構造をCGで表現した動画があります。ここにそれを紹介しましょう。地球上からは金星などは退行運動をすることがありますが地球中心に考えてもその軌道が正確に歯車の運動によってあらわされる事を示していますね。

この退行運動はその後コペルニクスによって地球が太陽を回っている方が自然に表現できると解釈されることになりますが、遠い古代ギリシャでは運動が歯車によって正確にあらわされる以上そのような理論など必要がなかったと言ってもいいでしょう。同じ現象を違う立ち位置で考える。。。ここがコペルニクスの発想の転換として重要な事なのですね。

ところでこのCGはそれだけではなく、アンティキテラの機械がどのように動いているか研究したマイケルライトの考察をダイナミックに再現しています。



アルキメデスのアイデア?
それと最近このような機械はシチリアで造られたのではないかという説もあり、ジョーマーチャントはこの機械には希有の天才アルキメデスの影響も大きいのではないかと考えているそうです。またこれはバビロニアから連綿と続く技術の一体系ではないかとの話もあります。

アルキメデスはシチリアのシラクサで数学などの研究をしていました。金の王冠の話はで比重の概念を導入したことはあまりにも有名ですが、アルキメデスはポンプを造ったり、ローマ軍に対抗する投石装置なども設計していました。あいにくある数学の証明に夢中になっていた所をローマ軍兵士に殺されてしまいました。後でローマの将軍はこの事実を相当悔やんだようですが。。

この機械はまだこの一台のみしか発見されていません。が、いつか他の場所でも同じものが発見されるかもしれません、また、文字列の解読も進んでいて、今後も新しい事柄が判明していくでしょう。おおいにロマンをかき立てる物語ですね。進捗を見守ってきたいと思います。


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