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博士の異常な愛情:または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか

フォンノイマンの計算機と脳で少し触れたスタンレー・キューブリック監督の「博士の異常な愛情:または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか」をあらためて鑑賞しました。なぜこの映画を観たか?それは先日夢の島公園に眠っている水爆の生き証人「第五福龍丸」を見学する機会があったからです。ビキニ環礁の水爆実験で被爆した第五福龍丸の悲劇を思い起こすまでもなく日本は世界中で唯一原爆で攻撃され大量殺戮を受けた経験を持ち、昨年も原子力発電所の事故で国民が被爆してしまった類を観ない悲劇に見舞われた国になってしまいました。水爆実験でも第五福竜丸のように多大の放射線を浴びるという災難にさらされたのです。

Ed_Teller.jpgこの元凶の水爆を作ったのはキューブリックのこの映画にでてくるストレンジラブ博士のもっとも近いモデルと言われているハンガリー生まれのユダヤ人エドワード・テラー(1908-2003)です。ノイマンもモデルの一人と言われていますが、この人物の方が私はストレンジラブ博士により近いと思っています。そういえばノイマンもハンガリーからアメリカに来たユダヤ人の科学者でしたね。話は戻ってテラーはまさしく「私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか」を地でいく人物だったのです。

1945年、ニューメキシコでの世界初の原爆実験(トリニティ実験)に立ち会い、「なんだ、こんなちっぽけなものなのか」と感想を述べたとされています。このような神経の持ち主であったのです。もともと政治志向が強かったのか、アメリカにおいても他の科学者からは疎んじられる存在になっていったようです。

原発の父であったオッペンハイマーはなぜ2発の原爆を日本に落とさなければならなかったか驚愕しその破壊力をみて水爆の開発に反対したと言われています。ちなみになぜ二発かというと。。広島型はウラン濃縮タイプ、長崎型はプルトニウム型と製法が違う原子爆弾。本当は述べたくもありませんがその二つの方式の爆弾を落として実戦の効果を調べたかったのではないか?とも考えられます。人の命をなんと考えているのでしょう。

まさしく上記のようなテラーの台詞が出てくる所以です。さらにテラーはオッペンハイマーを失脚させようと目論んだという噂も聞こえてきます。まさしく本人は自分の事をどう思っているのか知りませんが、周りから見ればマッドサイエンティストと言われてもしようがない人物だったのでしょう。しかし政治家への運動はうまかったようですよ。レーガン大統領も彼の提案にぽろりとだまされた口ですかね。例のSDI計画です。300億ドルぐらい浪費をしたという話があります。

さて、下の写真は第五福龍丸展示館の内部です。被爆後一時海洋大学の練習船として使われその後配線となって夢の島に放棄されていたのを東京都が整備をしていまこの地で静かに水爆の犠牲の生証人として船体を横たえています。
IMG_7536_7_8_tonemapped.jpeg  

1954年3月1日ビキニ環礁から160Km離れた洋上でマグロ魚を行っていた第五福竜丸は、そのとき何がおこったのか分からない状況で死の灰を浴びてしまい、乗組員23名は急性放射線症になってしまいました。白い灰が甲板に積もったというではありませんか。ビキニ環礁の珊瑚が砕けて散った物が降って来たのでしょう。それも相当の放射能に汚染された物質として。比較的重い症状の15名が東大病院に搬送されました。そのなかで通信士の久保山愛吉さんは水爆による日本人初の犠牲者になってしまいました。その際久保山さんは「原水爆で犠牲になるのは私が最後に。。」と遺言を残しました。
IMG_7542_3_4_tonemapped.jpeg76年に開設された展示館には瓶に詰められた死の灰がいまでも展示されています。やはり実物を見るとそこにあるというだけで想像などとは違う真実が迫ってくるものがありました。しかしなぜ罪も何もない人々がこんな不幸を背負わされるのか?


冷戦の最中、1964年に公開されたスタンレー・キューブリックの映画は核戦争でおこる人類滅亡を描いています。何しろテラーのような人物が実存している現実がここにあるので、キューブリックはこの問題を冷戦時の微妙なときにどのように料理したのか?

ある一人の狂信的な下級空軍司令官が仕組んだ作戦でB52がソ連に水爆を投下する事態になり、それを阻止すべく政府の首脳が対策を練ろうとするのですが、時間が経っても右往左往するだけで埒があきません。政治家は次の選挙のことを考えて何も判断できない状況に陥ったり(水爆が投下されれば選挙などないも同然なのに!!)、将軍はもうパニックで何がなんだか分からないという状況。この期に及んで空軍と陸軍のにらみ合いをしてみたり。大統領がソ連の首相にホットラインで連絡したときには首相は酒を飲んでリラックス中という有様。この問題を打開すべく招集された駐米ソ連大使は隠しカメラでペンタゴンの司令室の写真を撮っている。。このように登場する大統領や将軍達が利己的な俗物として描かれており、大変皮肉にとんだ意地の悪いコメディ仕立てになっています。

たとえば命令解除の暗号を見いだした大佐が大統領に連絡をするのに公衆電話しかなく、コレクトコールをと交換手に言いますがコインを入れてくださいと言われ、小銭が足らず交換手に拒絶されてしまい、追加のコインを得るために一緒にいる兵隊に自動販売機を撃てと命令します。そしてようやくコインを集める場面があります。こんな大事なときに一緒にいた兵隊は自昄を撃つのをためらい「個人の資産は壊せない」とか「何かあったら大佐がコカコーラに説明してくださいね」等という状況の大きな落差がえがかれます。コメディで書かれているこのような事は現実には十分起こりえる事かもしれませんね。

最後はようやく解決の糸が見えるまで後一歩というところで不幸にも人類が滅亡してしまうという物語です。ソ連の最終兵器が作動するのです。この装置は攻撃されれば自動的にコンピュータが引き金を引くという装置。世界人類の滅亡が画面に現れますが、その上に第二次世界大戦で流行ったヴェラ・リンの甘いメロディが流れています。

Strangelove1.jpg Strangelove2.jpg

♪♪また会いましょう。どこかも知らず、いつかも分からないけれど、きっとまた会えるでしょう。。。いつかある晴れた日に。だから笑いを忘れずに、いつも絶えないその微笑みを 青いそらの輝きが、黒い雲を払うまで。そしてお願い、私の友や隣人にあなたがもし出会ったら、じきにいくわと皆に伝えて 別れの際に私が 力の限りこの歌を 歌っていたとどうか伝えて。また会いましょう。どこかも知らず、いつかも分からないけれど、きっとまた会えるでしょう。。。いつかある晴れた日に。(We will meet again)♪♪

常識では大統領や将軍が冷静に状況を把握し持てる力を使って問題を解決していくという話になるのですが、キューブリックはそんな事はないよ。現実はこの程度の人間達が全ての人類の運命を担っているのだよ。と言っているようです。しかし歴史を紐解く必要もないぐらい昨今の日本政府の振る舞いを観ているとひょっとして現実は。。と推察されるもっともな事が多く、怖くなりました。

今この時を生きていて、日常に埋没してしまっている見かけ上の安泰な生活が実は微妙なバランスの上に成り立っている事を、ちょっとした間違い、勘違い、視野の狭い考えや少しの偏見が広島や、長崎、第五福龍丸におこった不幸を呼び、今そこにある危機として存在している事を忘れないようにしなくては。。と考えさせられました。

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