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蒸気機関車考(2)、一番速かった蒸気機機関車は?イギリス対ドイツ

性懲りもなくまたまた蒸気機関車の話です。今回は模型ではなくて実物の話。蒸気機関車の技術史なる本を見つけました。斉藤晃氏著ですが、この著書は蒸気機関車の初期から役割を終えるまでの技術がどのように変遷していったかを詳しく述べています。AMAZON → 蒸気機関車の技術史 (交通ブックス)
01 蒸気機関車の技術史世界の蒸気機関車技術を俯瞰してそれが日本の蒸気機関車にどのように適合されていったのかをあくまで技術論を基に書き込まれています。そこには冷静に日本の蒸気機関車に関する技術レベルが描かれています。日本の技術者が既に鉄道の先進国であった英独仏米の技術をどのように消化したのか、しなかったのかを詳細に述べています。

速度に対するチャレンジ:
一所懸命走る姿はその人間らしい仕草に似て、いまも鉄道ファンだけではなくいろいろな人から共感を得ています。残念ながら蒸気機関車は作られてから200年あまりで表舞台から消えました。この本ではいろいろな技術について述べられていますがその中から興味のある課題を今回書きたいと思いました。スチーブンソンで有名なロケット号は大体時速40Km位で走ったようですが、機関車が発達していくと人間はより速い速度を目指すものなのですね。今回の記事では世界一の速度を争った機関車の話をしたいと思います。

イギリスの歴史:栄光の機関車マラード号
蒸気機関車の先進国はやはり産業革命発祥の国イギリスです。蒸気機関車を語る場合にまず引き合いに出されるのが今までの歴史で最高速度を記録したイギリス国鉄のマラード号(愛称はMallard:マガモ)。ナイジェル・グルズリー卿(Sir Nigel Gresley) の設計による3気筒の蒸気エンジンを持った流線型の蒸気機関車は1938年7月3日、少し下り坂ではありましたが、125.88miles per hour(時速202.58Km)の速度を計測しました。これは開業当時(1964年)の新幹線営業最高速度に近いものです。200年間の蒸気機関車の歴史においてこの記録を超える機関車は現れませんでした。ただしこのテストに先立つ2年前にドイツ鉄道のDB05型が124.5MPH(時速200.4Km)を記録していました。これが微妙な話になっているというのが今回の物語です。ただ歴史的には現在このマラード号が最速の機関車と認められています。今マラード号はイギリスのヨーク鉄道博物館に保存されています。

Makkard Overview Photo

マラート#12441;

610px-Mallard_Record_Plate.jpg世界最速の蒸気機関車であるプレート:
ON 3rd JULY 1938 THIS LOCOMOTIVE ATTAINED A WORLD SPEED RECORD FOR STEAM TRACTION OF 126 MILES PER HOURとかかれています。このプレートが車体に貼付けられています。


マラード号とは違いますが同じA4型機関車の動画です。


蛇足ですが、イギリスの子供向けのアニメーション『機関車トーマスとその仲間達』でいろいろな機関車が出てきますが、最新版ではこのマラード号タイプのA4型機関車が『スペンサー』というちょっとしたいじわる役で出演しています。このシリーズには日本のD51も『ヒロ』という機関車で登場しています。こちらは伝説のヒーローという役をあたえられています。イギリスの作者がなぜこのような役回りを考えたか...聞いてみたいものですね。設計者の名前にA4機関車はSir Nigel Gresley、D51は島秀雄となっています。

583px-SpencerCGIpromo.jpg HiroCG.jpg
スクリーンショット(2011-10-16 11.25.58) スクリーンショット(2011-10-16 11.26.33)


ドイツでの歴史:S2/6, DB05
ドイツのバイエルンでは速度重視の機関車としてS2/6型(前輪2軸+動輪2軸+後輪1軸)が2輛制作されました。動輪の大きさが2m以上もある機関車で速度を稼ごうという訳です。速度はこの動輪の大きさと回転数で決まりました。

S2:6 Locomotive

S2/6は1907年5月、4気筒の蒸気エンジンで時速154.5Kmで疾走しました。前面図を見るとこの機関車が4気筒型である事がよくわかりますね。左の写真はシリンダー部分を組み立てた部品です。駆動用のシリンダーが4個、蒸気弁が動くシリンダーが同じく4個ある事がよくわかります。

4気筒シリンタ#12441;ー Front.jpeg

4気筒の蒸気エンジンでは動輪のクランクシャフトのストレスが高速運転の場合に少し無理が出る恐れがあったので、3気筒構造が考案されました。3気筒にすると動輪のクランクシャフトの構造が簡単になり強度も強くなるためです。1930年代に入るとディーゼルタイプの機関車が導入され始め、それに対抗する意味もありドイツの鉄道連合は高速運転用の蒸気機関車を開発することになりました。ちょうどベルリンオリンピックが開催される時でヒットラーの時代に国威掲揚の意味もあって1936年、DBR05型が制作されその002号機が時速124.5MPHを達成しました。この機関車も3気筒の蒸気エンジンでした。この記録は2年後1938年上記のイギリスLNER鉄道のMallard号によって破られます(125.88MPH)。

DBG 05-001 SL Photo
DB05蒸気機関車 (Wikipedia から転載)

DR Class05
オリンピック特急用の機関車として。



どちらの機関車が本当に速かったのか?後日の議論:
マラード号が125.88MPH、DB05002号が124.5MPH。その速度の差はほんの少しですね。そこでいろいろな議論がされました。線路の状態、坂道、客車の不可重量など。この二つの記録は全く同じ条件で出した訳ではないのでやはり議論は難しい局面を迎えます。ちょうど陸上競技でいえばマラソンには世界新記録がないのと同じですね。(ルートやアップダウンがそれぞれ違うので、世界最高という数字はありますが。)

まず機関車の仕様(Specification)を比べてみましょう。
Mallard vs DB05 Comparison Table

上がマラード号、下がDB05型です。駆動輪は両方とも3軸で6輪。製造年も同じ。気筒数も同じです。すこしマラード号の方がシリンダー径が大きい。動輪はDR05がすごく大きいですね。90.6インチは2300mm=2.3mです。蒸気圧もBR05の方が大きいですね。

さて最高速度を出したときの状態はどうだったか?下記に面白い比較図があります。実験ルートの高低図です。

マラード号の記録:牽引荷重は240トンでロンドン方向に走行。ストークサミットを超えて少し下り坂になる。スピードはどんどん上がり89 3/4マイルスポットあたりで最高速度を記録し、ブレーキがかかる。下り勾配は約1/200であったそうです。テスト終了後マラード号はクランク軸のベアリングをオーバーヒートさせてしまいました。
Mallard Gradient Profile vs Speed

下記はDB05-002の速度記録です。牽引荷重は197トンでハンブルグからベルリン方向に走行。ほとんど平らな状態で124.5mphの速度を出しました。テスト後とくに機関車の不具合はなかったようです。
fastloco-10.jpg

この状況を考えると数字のみの比較ではイギリスのマラード号に軍配が上がりますが下り勾配やテスト後の機関車の状態ではドイツのDB05に優位さを認めます。ただ牽引荷重が違うので、これも微妙に何ともいいがたい比較です。前述したように一応最高速度の数字を見て蒸気機関車の最速記録はマラード号と決めたのですね。

番外編:アメリカの機関車
当時アメリカはイギリス、ドイツ、フランスと並んで鉄道王国の一員でした。ミルウオーキーClass F7蒸気機関車は126MPH (203kmPH)、ペンシルバニア鉄道のS1蒸気機関車は127.1MPH(204.5KmPH)を出したといわれていますが正式記録にはなっていません。ただしペンシルバニア鉄道では営業運転で120MPH(193KmPH)だったそうで、それ位の実力はあったのでしょう。つまり上記の2機種以外にも速い機関車は存在したのでした。

Milwaukee F7 Locomotive なかなか精悍な形をしています。
Milwaukee F7  Hiawatha SL

PRR S1 Locomotive 超大型の蒸気機関車でかなり速そうな形をしていますね。
prr+s1.jpg

この刺激を受けて日本でもまじめに弾丸列車を考えたことがありますが、それは次回の記事に譲りましょう。いずれにしても技術は常に上昇志向で磨かれていくのですね。今回はその一端に触れてみました。



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