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ボルツマンの悩み:気体分子論

今回はちょっと鉄道から離れてオーストリア出身の物理学者ボルツマン:Ludwig Eduard Boltzmannの話をしたいと思います。気体分子論の産みの苦しみと題してボルツマンが悩んだ道筋をたどってみたいと考えました。何分素人の物理論。間違い勘違いはご容赦のほど。

ボルツマン

初期の気体分子論展開のもとでボルツマンが悩んだパラドックスがありました。気体を微小な分子の集まりと見たときにその分子個々の振る舞いはニュートンの運動力学にしたがって決定されるのですが、ニュートン力学では初期条件を与えるとその分子の運動は将来および過去に渡って一義的に決まってしますということと、一方、分子の集まりである気体は初期条件がどのような値をとっても時間経過がたつと同じような状態になるという事実をどのように合理的に説明するかということです。

一つの分かりやすい例を言えば真ん中を仕切った水槽に熱いお湯と冷たい水を加えその仕切りを取り除くと水槽内は両方の中間の温度になり決して温度の高いところと低いところに分かれない。しかしこれは奥が深く、ニュートン力学ではもしある特殊な初期条件を与えたら各分子は衝突を続けながらもある特定の平均的でない温度分布を呈する可能性もあるといえます。しかし現実にはそのようなことは起こりませんね。ここでボルツマンは過去にカルノー等が提唱していたエントロピーなる概念をさらに厳格に定義しその系のエントロピーが最大になるところが最もあるべき相であると位置づけました。
加えるに、この気体分子論においては統計力学なる手段を用いて確率状態を表すことになるので全くニュートン力学の背景にかくれている運命決定論と相反するということになります。哲学的にもこれはなかなか難儀な話で当時の物理学者の間でもこの矛盾点をついてボルツマンを攻めたものでした。ボルツマン自身も初期の論文がその点について十分説明できていない弱点を知っており事実としては正しいことは分かっていても、反対論を論破できないという立場に相当苦しんだようです。最終的にはマクスウエルという数学の達人の働きもあってこの問題の自己矛盾性を無くするようにしたのですが、ボルツマンはその後うつ病で自殺をしてしまいました。一人の人間が命を張って完成したのが気体分子論であった訳です。
しかしこのような考え方はその後の量子力学の発展の基礎になるものとして歴史的に大きなモニュメントと考えられています。ノーベル物理学賞の朝永振一郎博士の最後の著書(未完ですが)にこのボルツマンの苦しみを朝永博士自身である自分がボルツマンの目線で物理学に対してどのように取り組むかという鋭い議論なのですが、淡々とした語り口なのに、すごい迫力で読者をひきつけます。岩波文庫『物理学とは何だろうか下』熱の分子論完成の苦しみという章に(文字通り)描かれています。

朝永振一郎博士 岩波新書 Iwanami Book 2_
朝永博士は私がもっとも尊敬する物理学者の一人です。
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