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アラン・チューリング(1):コンピュータサイエンスの父

アインシュタインと言えば誰でも知っていますね。しかしアランチューリングは?という問いにどれ位の人が知っているといえるでしょうか?それほど知られた存在ではないですね。日本の義務教育や高校の教科書にはアランチューリングの一言も出てきません。アラン・チューリングは1912年6月23日生まれで1954年6月7日41歳でこの世を去った数学者にして論理学者です。いまや我々の生活に必要不可欠になったコンピュータサイエンスの父と言ってもいい位の業績を残した人なのですが。その一生は決して報われる事がなかったのです。

写真左:アラン・チューリング、写真中央と右:マンチェスター大学に隣接するサックビルパークにあるアランチューリングがベンチに座っている銅像と足下にある記念プレート。アランチューリングが座ってるベンチにはアラン・チューリング:コンピュタサイエンスの父と書かれその下にエニグマ暗号による表記もされています。銅像の右手は林檎を握っています。プレートには、コンピュータサイエンスの父,数学者にして論理学者、戦時中の暗号解読者、人種的偏見の犠牲者と刻まれていて、その下にバートラント・ラッセルの言葉が引用されています。
turing.jpg 450px-Alan_Turing_Memorial_Closer.jpg 800px-Sackville_Park_Turing_plaque.jpg

Alan Turings Appleさて左の写真はアップルのロゴではありません。この林檎はアランチューリングの林檎です。41歳でこの世を去った時、彼のベッドの横には赤いかじりかけの林檎が置かれていました。この林檎には青酸化合物が塗られていたかどうかは不明でしたが部屋には青酸化合物が置かれていて自殺をしたのですね。彼の業績を日陰に追いやった当時のイギリスの社会背景をよく理解しておかなければなりません。彼はホモセクシャルであったのです。当時イギリスではホモセクシャルは罪であり彼はその容疑で逮捕されました。彼の選択できる道は二つ。入獄するか化学的去勢をおこなうか。彼は後者を選び女性ホルモンの投与を受けたのでした。とうとうその処置に耐えられず自殺したのではないかといわれています。林檎が置かれていたのは生前彼がディズニーの「白雪姫」(1937年)の映画を見てそれをまねたという噂もあります。余談ですが、林檎と物理は縁がありますね。チューリングのケースやアップル社のシンボルの他にニュートンの万有引力の発見にも登場します。


アランチューリングとエニグマ暗号
449px-EnigmaMachineLabeled.jpg彼の不運は持てる才能が余人に変えがたい程素晴らしかったことが皮肉にも原因であった事は否めません。たぐいまれなる数学の才能をみこまれて第二次世界大戦でドイツ軍が使用した絶対に解けないのではないと言われたエニグマという暗号を解読する仕事に従事した事が彼の人生を華々しい表舞台から葬り去ったと言えなくもありません。実は彼の上司は彼がホモセクシャルである事を知っておいたようですが、彼がどうしても必要だったために暗号解読の仕事に従事している間はその点に目をつむっていたのです。暗号解読チームはブレッチリー・パーク (Bletchley Park) にある邸宅でその困難な仕事に従事しました。

左の写真はエニグマ暗号の暗号化と平文化(Coding and Decoding)をおこなう機械。ドイツ軍はこのポータブル機械を持参して縦横無尽に活用しました。とくにUボートの作戦行動に威力を発揮しました。暗号のキーは日々変わってその組み合わせは天文学的な数字になっていました。さらに解読の困難さを増加させるために電文ごとに暗号キーを変える工夫もおこなわれ(文章が短くなると読み取りが難しくなるのでどのキーが使われているかは大変難しい)、殆ど解読不能、難攻不落の暗号と言われていました。


800px-Bletchley_Park.jpg 800px-Bombe-rebuild.jpg
写真左上)ブレッチリーパークの屋敷。写真左)解読用に開発されたBombeと呼ばれた一種のデジタルコンピュータ。

事が事だけにこの計画は隠密裏に進めなければなりませんでした。ブレッチリーパークは確かに閑静な邸宅でしたが、逆に言えば暗号解読チームはこの中に幽閉されたような状態で生活を強いられたと言っていいでしょう。しかしアランチューリング達はここで暗号解読用の計算機Bombeを開発し、とうとう解読に成功したのでした。
その成功例はバトルオブブリテンのドイツ軍撃退に多いに約不だったそうです。この戦いは第二次世界大戦のドイツ対連合軍の大きな転機になった戦いでした。

サイモン・シンの著書「暗号解読」新潮文庫上巻の後半でエニグマ暗号の原理等が詳しく解説されています。

暗号解読〈上〉 (新潮文庫)暗号解読〈上〉 (新潮文庫)
(2007/06)
サイモン シン

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ただブレッチリー・パークを一歩出るとこの成功は誰にも話せる事ではなく、戦後冷戦が始まったこともあって対共産圏に対してもその事実を知られてはまずいとの政治的判断があってそのまま極秘にされたのです。これにはあの名宰相と言われたチャーチル首相の意向が強く働いたと言われています。政治家というのは国家の安全保障という目的において個人にたいして非情な事も決めることがあるのは常に肝に銘じておかなくてはなりませんね。その結果、アランチューリングの不幸は、解読成功が幾万人のイギリス人の命を救ったにもかかわらずその功績が決して他の人に知られる事がなく、単にホモセクシュアルな科学者として認知されたという大変誤解に満ちた、かつ冷遇されたあつかいをされてしまったことなのです。

チューリングの死後、2009年9月10日になってようやく時の首相ゴードン・ブラウンはイギリス政府がチューリングにおこなった同性愛の理不尽な措置について道義的には謝罪をしましたが、名誉回復(無罪)については法務大臣が当時の法令に従って物でそれは正しい措置であったと拒否をおこなっています。下記URL記事参照。
ブラウン首相の謝罪(原文)Gordon Brown: I'm proud to say sorry to a real war hero
法律上の見解:Government rejects a pardon for computer genius Alan Turing

チューリングマシーン
さて最初に説明しましたようにチューリングの功績は暗号解読もさることながら計算機の原理を詳しく具体的に述べた論文やその思考過程において提唱されたチューリングテストなども現在のコンピュータ原理や人工知能に大きな影響を及ぼしています。21世紀に入ってチューリングの論文はますます参照されて更に重要な拠り所になっていく方向性が見られます。今回の記事ではコンピュータの原理を示すチューリングマシーンについて少し述べてみたいと思います。チューリングマシーンを簡単にあらわすと下図になります。このマシーンは暗号解読の最中にも考えられていたものでした。

1)無限に続くテープ。このテープ上には離散的にデータを書き込んだり読んだりできる領域がある。
またテープは左と右に動く。
2)そのテープ上にデータを書いたり読んだりできる機械。
構成は上記述べた物だけ。あたかも簡単な算盤みたいな物を想像してください。

TM1.png

下記はふとした事から見つけたチューリング機械の映像です。上記の図の動作がよくわかります。


実はこれだけの装置でいまのコンピュータがどのように動くかを示すことができるのです。

今年の6月23日はアランチューリングの生誕100周年に当ります。6月23日に生誕100年を記念してGoogleはそのDoodleでアランチューリングのチューリングマシーンを再現しました。ご覧になった方もいらっしゃるでしょう。
チューリングマシーンゲーム
GOOGLEのアルファベットをバイナリーであらわしたコードをチューリングマシーンで作っていくミニゲームになっていました。このゲームは今でもGoogleのアーカイブでプレイすることができます。
URL Google Doodle Archive Turing Machine
上に数字が書かれたテープがあります。そのそたの緑の矢印を押すとプログラムが動きます。左向き矢印はテープが右に(あるいはヘッドが左)動く動作を示しています。黄色いボタンの0は、そこに"0"を書き込む動作です。その次は右向きの矢印が3個連なっているので、テープを3回左に動かすことになります。そこに先ほどと同じく"0"を書きこんでプログラムが終了します。この一連の作業の結果は、テープ上には00010となりGOOGLEのGをあらわすコード01011と合いません。黄色の場所の0を1に変えると同じプログラムで01011となりコードと同じになります。これが正解です。ゲームでは黄色の所のみ変更可能になっています。

このようにテープの右左に動かす命令。0か1を書く命令。テープ上の数字を読む命令、条件をつけてテープを左右にループさせる命令などを組み合わせてこの単純な作業を進め計算をしていきます。プログラムの作り方が悪いとテープは永遠に動き、無限ループに入ったりします。

もっと複雑な数学でこの装置の動作を説明していく事が常道なのですが、ここではチューリングマシーンの感じをつかむ試みを述べてみました。アランチューリングにはまだ色々興味深い題材がありますが、今回はこの辺で。





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